タイムレコーダーにまつわる不正

タイムレコーダーとは、おもに仕事場での出勤記録などをつけるために使われる事務機器である。タイムレコーダさえあれば、人事部で出勤記録をつけるのもとても容易で、あとはコンピュータに任せていれば自動的に勤務時間等を計算してくれるので間違いが少ない。タイムレコーダーが出来た当初は何と便利なものが発明されたのかと思ったことである。


しかし、運用上では難しい問題もあちこちで散見される。主にパート管理をしているサービス産業などで多いものと思われるが、タイムレコーダーを押すタイミングである。というのは、タイムレコーダーは1分単位で計算できるが、出勤簿自体は1時間単位のところが多いからである。それ以下でも30分単位がほとんどで、10分単位なんてあまり聞かない。仮に時間給が800円としても30分で400円。これが10日続けば4000円もの収入の差が出てくることになる。つまり、仕事場に入るときにタイムレコーダーを押し、ぺちゃくちゃしゃべりながら着替えをしてお茶を飲んで、それから仕事にかかれば30分は儲かることになり、同様に仕事が終わっても無駄話をしてからタイムレコーダーを押せば30分は儲かる。この差が1カ月も続けば結構な金額になり、仮にパートが100人もいれば、かなりの金額の無駄な出費となってしまう。


だから、店長や上司は、厳しく目を光らせることになるが、たんに無駄話ではなく適当なミーティングや打ち合わせだと言ってごまかせば、そこらあたりの線引きは難しい。一方で店に入っても、仕事に着手するまではタイムカードを押さずにいて、仕事が終わればすぐにタイムレコーダーを押し、そのあとはサービス残業的に業務を行うパートもいる。こんな人ばかりなら上司も経営者も楽ではあるが、これがまた問題になる。つまり労働基準監督署からの厳しいお達しや監視、そしてパート間同士の不公平さが出てくるのである。あいつはまじめすぎるとか、あいつはイカザマをしているとかで、タイムレコーダーを押すことよりも、その扱いや結果で職場いじめの問題まで浮上してくる。これは大変であり、こんなことで優秀なパートが辞めていくことも多く、経営危機になりかねないところもある。といってタイムレコーダーをやめて、たんに出勤簿だけに逆戻りすれば、またサービス残業問題や公平不公平の問題がぶり返す。タイムレコーダーというのは人間を管理する便利な道具であったはずなのに、タイムレコーダーで人間同士のイザカイが起こりその職場の雰囲気がとてもまずくなることは多いもの。タイムレコーダーの扱いの問題は、結局人間の扱いの問題になっていく気がする。